仮殿発輿祭
次第
祭典に先立ち冨田町ささら踊り
時刻宮司以下祭員所定の座に著く
次に神楽太鼓を奏す
次に修祓
次に宮司一拝(諸員之に倣ふ)
次に神饌を供す
次に宮司祝詞を奏す(此の間諸員磬折)
次に宮司玉串を奉りて拝礼(祭員列拝)
次に氏子会役員、参列者玉串を奉りて拝礼(関係者列拝)
次に宮司天国宝剣を祭典委員長に授く
次に祭員所役に真榊、唐櫃を授く
次に祭員儀仗奉仕者に社銘旗、比礼鉾、四神旗、
錦旗を授く
次に神饌を撤す
次に宮司一拝(諸員之に倣ふ)
次に露祓町挨拶の儀
次に還御の準備を行ふ
次に宮司出御を宣す
時刻一本締め
次に出御
解説
年番町の仮殿に2晩鎮座した御祭神は還幸祭になると再び總社宮へと戻る。通例では午後1時過ぎに氏子総代ほか神幸祭で供奉した氏子町内代表者、神輿の担ぎ手などが参集する。なお、各町内の幌獅子は行列に参加するために仮殿周辺へと並ぶ。
修祓から祭典は始まり、祝詞奏上、玉串拝礼の後、宮司から再び天国宝剣が年番町祭典委員長に下賜される。同様に威儀物の所役は神職からそれぞれ担当する神具を受け取る。
祭典終了後、御綱役と年番町神輿部により大神輿の出御準備が始まる。大神輿はまず鳥居外へ運ばれ、そこで横棒などが取り付けられる。この準備の間、仮殿境内では露祓町挨拶の儀が行われている。
時刻になると神幸祭同様、宮司が出御を宣言して年番町神輿部長が口上を述べ、拍子木の一本締めで出御する。
巡行風景
解説
仮殿発輿祭の後、大神輿と供奉行列は總社宮へと渡御する。通例ではまず神幸祭時に巡り切れなかった年番町の各所へ大神輿が向かい、その後行列を伴って他の町域へと移動することが多い。神幸祭時同様広く巡行路が組まれ概ね2時間の渡御となる。最後は必ず中町・香丸通りから土橋通り(神社通り)へと入るが、この際以前は祭りを終えたくない年番町の担ぎ手が大神輿を敢えて進ませないといった慣行があったが最近はあまり行われない。土橋通りから元真地の御陣屋地区へ移動し、大神輿、供奉行列は大鳥居から境内へ参入。幌獅子は年番加盟町以外は石岡獅子舞連合会の取りまとめにより待機場所へと向かう。
巡行路例(令和元年年番國分町)
還幸祭・年番引継式
次第
(此の間警蹕諸員平伏)
次に露祓町挨拶の儀
次に宮司以下祭員、総代氏子会役員、
年番町役員各町崇敬者代表所定の座に著く
次に神楽太鼓を奏す
次に天国宝剣を返納す
次に修祓
次に宮司一拝(諸員之に倣ふ)
次に神饌を供す
次に宮司祝詞を奏す(此の間諸員平伏)
次に宮司玉串を奉りて拝礼(禰宜以下祭員列拝)
次に総代、氏子会役員、年番町役員、玉串を奉りて拝礼
(関係者列拝)
次に年番引継書を授与す
次に神饌を撤す
次に宮司御扉を閉ぢ畢りて所定の座に著く
(此の間警蹕諸員平伏)
次に宮司一拝(諸員之に倣ふ)
次に神楽太鼓を奏す
次に感謝状を授与す
次に各代表挨拶
次に手締式(年番町祭典委員長音頭により三本締め)
次に神酒拝戴
解説
広義には祭礼期間の最終日を総称し、狭義には御分霊が本殿に還御する最後の祭典を称する。
渡御のルートは年番町によって異なるが、總社宮方面へ移動する前に逆方向にある氏子町内を大神輿のみで巡ることもある。その後、改めて年番町内を巡って最後は土橋通り(神社通り)へと入る。この際、かつては大神輿が還御すると祭りが終わってしまうことから若人たちが大神輿を神社通りへと入れまいとする行為が見受けられた。
山車は神幸祭同様に近年、大神輿を出迎えるために御幸通りなどで整列していることが多い。大神輿と供奉行列が通過して各町ごとの巡行へと戻る際、町内によっては總社宮を遥拝すべく、神社通りへ山車を向けて囃子を行う例もある。
神域に入った大神輿は神幸祭の際の出発地となった土俵前で一旦止まって神輿部長の三本締めと口上が行われる。その後、土俵上に移動すると露祓三町のささら、獅子による奉納舞が神幸祭と同様に行われ、神職が絹垣で大神輿を覆う。宮司が仮の御神体を取り出して遷座が始まる。土橋町の囃子と雅楽の『調子』に合わせて行列が組みなおされる。この際、供奉する町内代表者は随神門の内外の左右に分かれて整列し、低頭して御分霊の遷座を見送る。絹垣によって移動した御分霊は拝殿へと移動、幣殿で絹垣が開かれて宮司は本殿に参入、仮の御神体を安置する。
供奉員はその後拝殿へと移動し祭典が始まる。なお、この時拝殿脇の境内では最後の「露祓町挨拶の儀」が行われる。
祭典は修祓、宮司一拝と続き祝詞では祭礼の終了が御祭神に奉告される。なお、祝詞内では大鳥居の幟旗にある「神威四表に輝き、神澤民心に洽し」との文言が含まれる。
祭典の最後に年番引継式が行われる。宮司から次年度祭典委員長へ「年番引継書」が手渡され、同氏は「謹んでお受けします」などの口上を述べる。
祭典終了後は参列者は解散となるが、各祭礼風流の巡行は夜まで続く。近年ではいわゆる「カギヤ前」と称される御幸通り、中町通りの交差点において、前年度年番、次年度年番の祭礼風流同士による引継式も行われているようである。